木の家について、本当のことをもっと知ってもらいたい。そんな思いを込めて、このページを用意しました。
国産材は高い?
国産材の価格は一時高騰していましたが、今は適正な価格に戻っています。
「国産材で建てる木造住宅は高い」「国産材のひのきは高級品」などという言葉を耳にしたことがある方は多いと思います。
そのイメージからか、外国からの輸入材を割安と捉える人が多いようです。確かに、過去にそのような時期はありましたが、林野庁の平成29年度 森林・林業白書(平成30年6月1日公表)によれば、国産材の素材(丸太)価格は、昭和55年をピークに、スギで約3分の1、ヒノキにいたっては約4分の1にまで下がっています。このように、現在は国産材の価格が落ち着いてきていますので、身近になった国産材を上手に使い、適正な価格で質の高い家づくりをしていきましょう。
木の家は腐りやすい?
木は腐ってしまう可能性があります。ただし、工夫次第で長く使用することもできます。
「木が腐るのは、腐朽菌と言われる細菌が、木材を栄養分として木そのものを分解してしまうことが主な原因です。細菌は、適度な温度、酸素、水分、栄養分がそろうことにより繁殖を始めます。言い換えれば、そのいずれかの要素を絶つことが、この繁殖活動を抑えるために非常に有効なのです。 長持ちする木の家には以下の特徴があります。
- 建築材には、最適に乾燥させた状態の木材を使用している
- 建築設計段階では、床下や内壁に換気が行き届くように工夫している
- 洗面台、浴室など水周りをしっかりと換気している
ひのきを使った、世界最古の木造建築物と言われる法隆寺が示すように、木材をしっかりと乾燥させた状態で使用していれば腐る心配はないのです。
木の家は地震に弱い?
最適な建築方法を採用することで、大きな地震にも耐えることができます。
今の木造住宅は、耐震性に優れており、地震に弱いということはありません。確かに昔は、屋根が重かったり、柱と柱を斜めに支える筋かいが少なかったりと、木造建築はアンバランスな構造でした。しかし、近年の建築基準にのっとり、地盤に合わせた適切な基礎づくり、堅牢な土台や柱、高剛性の床や壁と、適切に建材を組み合わせれば、木の家は大地震にも耐えられるようになるのです。
それは、阪神・淡路大震災における建築物の被害調査結果で、適切に建てられた木造住宅の被害がとても少ないことからも分かります。加えて、その後いくつかの大地震を経て何度か木造建築の耐震基準が強化されていることからも、木の家はより高い耐震性を備えるようになったと言えます。
木の家は火災に弱い?
確かに木は燃えますが、火災時には大きな問題になり難いと言えます。
木材は燃料として利用されるように、確かに燃えます。ですが、建材のようなある程度の厚みや太さがあれば、表面が焦げるだけで、内部まで燃えることは少ないと言われています。それは、燃えた部分が炭化して内部まで熱を伝えず、また燃えるために必要な酸素が中まで行き届かないためです。一方、鉄骨の柱は熱を伝えやすく、温度が上がるにつれて軟化し、強度が低下して建物の倒壊につながる可能性あります。
また火災時に問題になるのは、木造か鉄骨か、という主体構造の材質ではなく、内装材の発生する煙や有害ガスとも言われています。プラスチックなどの素材から出る煙を吸い込むことは、人体に深刻な影響を与えます。木材はこの点でも問題になり難いと言えます。
森の木を伐採することは環境破壊につながる?
今の日本では、計画的に木を伐採して新たに育てるサイクルが、地球環境によい影響を与えます。
確かに世界的には、木を伐採をすることにより急速な勢いで環境が破壊されています。それは、木の成長と伐採のタイミングが取れていないことによるものと考えられます。
その証拠に、現在、日本では建材として使用可能な人工林は増加傾向にあります。これはつまり、このまま国産林を適宜伐採しなければ、森林自体が高齢化する可能性を示唆しているのです。高齢化した木は、CO2を吸収して成長する若い木とは違い、酸素を吸収してしまい悪循環を引き起こします。
計画的に木を伐採して新たな木を育てる、このサイクルをしっかりと行うことが地球環境によい影響を与えるのです。
木の家がCO2を削減する?
木は伐採されて家になっても、蓄えたCO2はずっと固定され続けます。
たくさんの木でつくられた木造住宅は、前に述べたように森を守るだけでなく、地球環境にも貢献します。光合成によって成長する木は、大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収し、光エネルギーと水分を得て、酸素を大気中に放出します。この時に取り込まれた炭素は樹木の中に蓄えられますが、これは木材になっても燃やしたり腐ったりしなければそのまま蓄えられ続けます。これを「炭素の固定化」と言います。
家に木を使うことは、一度取り込んだ炭素を固定し続けることにつながり、地球温暖化の大きな要因であるCO2を減らすことにもなります。このように、木の家は、コンクリートや鉄骨の家にはできない役割を果たします。
木の家はこころが安らぐ?
人間と同じ生物である木に囲まれることは、さまざまなよい効果が期待できます。
鉄筋やコンクリートに囲まれた無機質な空間や化学物質が多い内装材に、生来自然の生き物である人間がストレスを感じないわけはありません。以下のように、木は伐採されて建材になっても、さまざまなよい効果をもたらし、住む人に安らぎを提供します。
- 耳から感じる自然
- コンクリートや鉄筋が多く使われている建物では、窓の外や隣人の音が気になったりします。それは残響によるもので、硬い素材は音が跳ね返りやすく吸収され難いので、いつまでも音が残るのです。その点、木造住宅は適度な吸音と残響で、快適な空間をつくります。
- 目から感じる自然
- 目に入る光のコントラストが強かったりすると、人間は不快に感じると言われています。また、あまりにも暗い環境も同様です。木の光の反射率は、人間が快適と感じる程度と言われ、また木目の色は目にやさしく映ります。
- 鼻から感じる自然
- アロマテラピーの香油にも「ひのき」があるように、木の香りには気持ちをリラックスさせる効果があります。また抗菌・殺菌の作用も期待できます。
木の家は快適?
木には湿度を調節する機能があるので、室内を常に快適に保ちます。
家の中の湿度は、気候や立地、住宅構造やライフスタイルによって変化します。これに対して、木には湿度調整機能があるので、湿度が高くなると空気中の水分を吸収し、逆に低くなると水分を放出し、周りの湿度が一定になるように自動的に調節してくれるのです。これは「木が呼吸をしている」とも言われます。適度に湿度を保ってくれるこの機能は、特に日本のような高温多湿の夏や乾燥する冬に効果的で、住環境を快適に保ちます。